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3 姫の御用聞き 1

Auteur: 鈴田在可
last update Date de publication: 2026-03-15 07:44:53
 お腹は満たされたが、ヴィクトリアのもう一つの要望「お風呂に入りたい」はもう少し待ってほしいと言われてしまった。九番隊砦は男所帯で、女風呂なんてないらしい。シャワーだけの施設はないのかと聞くと、あることにはあるがと歯切れが悪い。

 近いうちに何とかするから体を拭くだけで我慢してくれと言われたが、シャワー施設があるなら使わせてくれてもいいじゃないかと食い下がった。

 レインというあの男性に着替えはさせてもらったが、里から逃げて長時間走り続けたせいで不快な汗の匂いが全身に残っている。

(近いうちになんて、いつまで待てばいいの)

 今日中にはどうしても汗を流したかった。

 シャワーでいいから絶対に入りたい、ただの水浴びでもかまわないからその施設を利用させてほしいと強く主張した。

 入らせてもらえないならあなたとはもう口もきかないし取り調べにも協力しないでずっと黙ってるわよと脅したり、何なら川にでも連れていってもらって後ろ向いてくれればパパッとすませるからお願いよと懇願したりして、何が何でも入りたいと強硬な態度を貫いた。

 そしてジュリアスに半ば呆れられながらも、ヴィクトリアは「わかった」
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  • 獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかけて逃げた後その中の一人と番になる~   7 孕め

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  • 獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかけて逃げた後その中の一人と番になる~   6 リュージュの懸念 2

    「お前、やっぱり…… レイン――」「そんなことないわ!」 リュージュの口から「レイン」の名前が出た途端、ヴィクトリアは話を遮るようにすかさず口を開いた。「私が愛してるのはリュージュだけよ! リュージュ以外の人には、抱きしめられるのもキスされるのも無理だったもの!」「無理だった、なんて、経験してきたような口振りだな?」 リュージュがいぶかしげな表情で言うのを受けて、ヴィクトリアは動悸を感じた。(今日のリュージュは冴えてるわね!) 夢の中に現れたレインは怖い顔をしていて、なのに、ヴィクトリアを抱きしめてキスしようとしてきた。「ゆ、夢の中の話よ? 夢の中でレインが襲いかかってきて、抱きついてキスしようとしてきたけど、腕を振り払ってすぐに逃げたから、何もされてないわ」 そしてその後追いかけっこが始まったが、撒いてやった。夢の中の話だが。「お前がレインじゃなくて俺を一番に愛してくれているのはわかってるよ。 実はさっきお前に『愛してる』って言われるまでは、もしかしたら『番の呪い』が解けてないんじゃないかって、心配になってたけど…… なあ、一番最初に俺と体を繋げた時に、頭の中で『カチカチカチ』って音がしなかったか?」「そういえば…… そんな音がしていたわ」 ヴィクトリアの答えを聞いたリュージュはうなずいた。「俺にも鳴ったよ。その音は番を得た時に自分の頭の中だけで鳴るらしい。相手と番になったことを示す印みたいなもんだ。 でも、中には体を繋げても音がしないこともあるって聞いたことがあったから、ちょっと心配になってた」「そうなのね……」 母を思春期前に亡くして、里の交友関係も狭かったヴィクトリアは、そんな話は誰からも聞いたことがなかったし、本で読んだこともなかった。 ヴィクトリアはふと、『番になる音』が鳴る前に、ガラスが割れるような音を聞いていたことも思い出した。(もしか

  • 獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかけて逃げた後その中の一人と番になる~   5 リュージュの懸念 1

     脱衣所でリュージュに体や髪の毛を拭いてもらう。 振動が伝わりプルプル揺れる乳房をリュージュが食い入るように見ていたので、揉まれたり食べられたりするのだろうかと思ったが、タオル越しに触れる以外でリュージュが何かをしてくることはなかった。 リュージュは服が濡れてしまったので自分も風呂に入ると言い、浴室に消えていった。ヴィクトリアは脱衣所にリュージュがあらかじめ置いていた服に着替えた後、リビングに向かった。 リュージュが作ってくれた鍋料理を台所に持ち込んで温め直す。お腹はペコペコだったが、リュージュが来てから一緒に食べようと思った。 鍋の火を止め、ソファに座って休憩していると、それほど時間も置かずにリュージュが現れた。「なんだ、先に食べていてよかったのに」「一緒に食べたかったの。それに臨時集会のことも気になるし、食べながら話を聞こうかなって思って。リュージュの話って集会のことよね?」「えーっと…… まあ、それもある……」 リュージュの返事はどこか歯切れが悪かったが、ヴィクトリアが肉料理を皿に盛りつけようとすると、リュージュもそばに寄って来て、二人で仲よく食事の準備をした。 ****** リュージュによれば、やはりシドの処刑は予定通り執行されたそうだ。 そのことを聞いた瞬間にヴィクトリアは目を伏せてポロポロと涙を流した。 相向かいに座っていたリュージュは食事を止めて席を立つと、「大丈夫か」とヴィクトリアを抱きしめて、落ち着くまでそのままでいてくれた。 リュージュは涙こそ出さなかったが、ヴィクトリアに感化された様子で、少し目が赤くなっていた。 酷い父親だったが、リュージュにとっては実父であり、悼む気持ちはあるのだろう。「しょうがないよ。あいつは、それだけのことをしてきたんだから」 ヴィクトリアがひとしきり泣き、落ち着きを取り戻した頃に、リュージュが冷めてしまった料理を小鍋を使って温め直してくれた。食事を再

  • 獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかけて逃げた後その中の一人と番になる~   24 本当に地獄みたいですから

     お色直しをしたサーシャは豪奢なドレスを身にまとっていた。基本色はやはり青で、広がりを持ったスカート部には所々白色の布地が混じっていて、スパンコールが散りばめられている。 青色が主体のドレスだったが、色は濃い青ではなく薄めで、どちらかと言えば水色に近い。「体調が優れないようにお見受けしましたので、僭越ながら薬を持って参りました。できればこの場ですぐにお飲みいただければと思います」 やや強引に、紙で包まれた粉薬を手渡される。ヴィクトリアは戸惑いつつサーシャを見上げた。「どうしたの、これ」「同僚に取ってきてもらいました。その症状はおそらく暑さと疲労からでしょう。吐き気などはそれで取れると

  • 獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかけて逃げた後その中の一人と番になる~   23 結婚式 2

     サーシャは美しかった。純白のドレスには部分的に朱色や薄黄色の小さな花が舞っていて、ブーケや髪飾りにも同じ色合いの生花が使われていた。 リュージュがサーシャの手を引きながら入場する。 リュージュは、はにかんだような表情を浮かべて幸せさがにじみ出ていたが、一方のサーシャは、ベール越しではあったが、どことなく表情が硬いように見えた。緊張しているのかもしれない。  式が行われている場所は里の中に唯一ある教会だ。獣人族に元々信仰はないが、信仰心を持つ人間と交流を持てば、自然とこのような施設も造られた。 祭壇には獣人の神父がいて、二人に祈りの言葉を捧げていた。それから結婚誓約書への署名もある

  • 獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかけて逃げた後その中の一人と番になる~   22 結婚式 1

     ヴィクトリアは自室の鏡台に座っていた。筆を持ち、まぶたの際に黒い線を引いていく。目元に化粧を施せばいつもより艶っぽくなった。 化粧は昔閉じ込められていた母が暇を持て余してよくやっていたので、それの見様見真似と、あとは聞く相手もいなかったので本で勉強した。美容液の類は使ったことがあったが、化粧はキスマークを隠す以外はしたことがなかったので、本日のために商人からお勧めの化粧道具一式を買い揃え、何度か練習も重ねた。 あとは唇に紅を乗せるだけ。鏡を見て顔全体を確認すれば、そこそこ見栄えがするようにはなった。 髪型については一人でやるのは限界もあり、最初は全体を上げて一つに纏めようとしたが、ヴ

  • 獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかけて逃げた後その中の一人と番になる~   21 失恋

     その日はよく晴れた日だった。 長めの春が終わり、季節は苛烈な夏に向かおうとしている。 ヴィクトリアはようやく、シドに捕まることなくリュージュを見つけることができた。 ヴィクトリアは草原に座り込むリュージュの姿を見て安堵の笑みを浮かべる。 会いに行くと約束したのに思ったより時間がすぎてしまった。怒ってやしないかと思ったが、リュージュはヴィクトリアに気づくと満面の笑みを浮かべた。リュージュはいつでも自分を温かく迎えてくれる、そう思った。 けれど、違う。(匂いが違う……) ヴィクトリアは足を止めた。 リュージュから、サーシャの匂いがする。 会っただけ、手を繋いだだけ、ただ抱きしめ

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